趣味のカメラ  アナログログ

私は仕事の都合上、2003年ごろから2012年までほとんど山には行けなくなってしまった。その間は昔から趣味にしているカメラに関心を移し、小樽の路地裏を写して回っていた。時代はすでにデジカメに替わり、フィルムカメラは見向きもされなくなっていた。
昔は超高級一眼レフでもリーズナブルな値段に落ちていた。中古カメラ店のサイトにはより取り見取となった高級機が並んでいた。以下の文章はその期間に手に入れて遊んだカメラのインプレッション。2026年現在は全て売却し一台も残っていない。

キエフ 4 1997年


ある日、雑誌を見ていて、CONTAXⅡだとばっかり思っていたカメラが、実は旧ソビエト連邦製のデッドコピーと知った。中身は全くCONTAXと変わらないが、旧共産国製の悲しさ、すぐに壊れるという評価が載っていた。
相場はかなり安く、\10,000から\20,000くらいと出ていたので、YAHOOオークションを探しますと、有った。\15,000で落札し、受け取ってみると、外観程度はまあまあ、ケースも付属。ほとんど死んでいると言われている露出計も動くし、ファィンダーもきれい。早速フイルムを入れて写してみたが、解像度も収差も、悪くない。

 

 

 

しかし、やはり旧ソビエト連邦製で、フイルムの左下に光線漏れがあり。
左下と言うことは、カメラの後ろ右上部と推定され、いろいろ目張り等をして、何度か撮影したが、ついに治ることはなかった。

 

ニコン F4  AI-AF   2011年


2011年に入ってすぐに、カメラショップのホームページで発見し、入手した NIKON F4とAI-AF ニッコール28mm F2.8D。
SもEも付かないシンプルで軽量な(比較するとという意味であり、絶対的な重量は1090gと非常に重い)F4は持って見ると、思っていた以上に手になじみ、重量を感じる。
ニコンF一桁シリーズ初の本格的オートフォーカス機構を搭載したカメラで、予測駆動フォーカスも可能となっている。
ボディデザインはジョルジェット・ジウジアーロ。基本操作はニコンF3以前のマニュアル機の感覚そのままに使えるよう配慮されており、AIニッコールレンズでもフォーカスエイドで使用できるのはすはらしい。
F一桁で初めて外装にエンジニアリングプラスチックを採用しているので使用するにつれ、手がこすれてテカリが出てくるのは少し減点か。
もっとも、それが貫禄と言えない事もない。
手に入れたF4も気にはならない程度に艶が出ている。
ニコンFAで世界で初めて採用された多分割測光機能を搭載し、改造Aiを除くAiニッコール/Ai-Sニッコールでマルチパターン測光が可能な唯一のF一桁機でもある



 F一桁機として初めて縦走りカーボンシャッターを採用し、使用可能なシャッター速度は8秒~1/8000秒、スピードライトは1/250秒以下のシャッター速度で同調。
 フィルム巻き上げ機構が自動化されていること、明るくピント合わせがしやす視野率100%のファインダー、マニュアルフォーカスレンズでマルチパターン測光が可能であること、シャッター速度が速く後のモデルにも見劣りしないこと、F一桁機で初めてペンタプリズム頂部にホットシューを標準装備しクリップオン式スピードライトの使用が容易になったことなどによりマニュアルフォーカス使用時の操作性はニコンF5以上であると言われていた。


 また、F4と比較すると、手持ちのCANON EOS 40D,EOS KISS X3などは、まるで井戸の底から覗いているかのよう。
AF最初の機器では仕方ないのだろうが、位相検出式フォーカスに迷うことがけっこう有り、慣れが必要かもしれない。

何も考えずに撮影しても、ほとんど失敗することのないデジタル一眼レフとは違い、フイルムカメラは、むやみやたらとシャッターは切れないので、一枚一枚慎重に考えながら撮影する事になる。裏ブタ部分にはマルチコントロールバックMF-23が付いているF2Aと比較するとひとまわりは大きく立派に見える

 

ニコン F5 AI-AF ニッコール24-120mm F3.5D   2011年

 

1996年にこのカメラが出て、もう15年になるのに、一向に古びた感じがしないのは何故だろうか。 初めてF5のスペックシートを見たのは、確か、発売前年の1995年のことだった。考えて見ると今から16年も前になる。
 モータードライブ秒間8コマ、CCDによる3D-RGBマルチパターン1005分割測光、視野率約100%、脱着式ファインダー、外装はアルミダイキャスト、チタン合金……ものすごいスペックが並んでいた。最後に書かれていた定価を見ると、優に30万円を超えていた。これは全ての部分でアマチュアにとってオーバースペックであり完全にプロを対象とした仕事のためのカメラだ。
相変わらずニコンは大艦巨砲主義であり完璧を追求している会社だとかんじたが、それにしてもF5の大きさ、重さをスペック表で見て、これは私にはとても手に負えないと考えたものだ。



既に所持しているF2Aですら重いと思っているが、それでもモータードライブの着脱が可能なので、なんとか気にはならない。しかし、F5はモードラも一体型で、自分のスタイルに合わせた軽量化が不可能である、という点でも縁のないカメラと考えてた。
もちろん安サラリーマンの私にとって天文学的な価格が買う気を完全に持つことはできない。 F5なんて誰が買うのだろう。そう思った。発売当初、F5は品薄で、なかなか店頭で見ることが出来なかった。値段もこなれていなかったし、つい最近までおいそれと買えるような値段にはなっていなかった。
 ところが10年前から世間がデジタル一眼レフに完全移行してから銀塩カメラ、それも各会社のフラッグシップ機の中古価格が暴落してきたので、注意深く雑誌やネットを注目していると、正に良品が投売り状態になっているではないか。
今年(2011)に入り、F4を買ってフイルムを何本も撮らないうちに、F5が破格の価格で掲載された。 F4も格安で手に入れたとはいえ何ヶ月もたっていない。
写真で見る限り良品であり、当たり無し、傷、スレ少なしのF5が私に決断を迫る

 


人気のあるものの場合、掲載されてまもなく売却済みになってしまうので躊躇しつつもカメラ店に予約のダイヤルをしてしまった。

デジタル一眼レフカメラはキャノンで揃えているのに、銀塩カメラはニコンで統一しFE、F2A、F4にさらにF5を追加しようとしている私は馬鹿じゃなかろうかと一瞬思ったが、お店でF5と対面した私は幸福感でいっぱいになった。
 本来、趣味で撮影する分には、こんなカメラは必要ないのかも知れないが、F5は、どんな状況でもほぼ必ず写っているという安心感がある。その安心感はもし、仕事をするならば何物にも代え難いものになる。
 しかし、私は仕事でカメラを使うことはない。最近路地裏を散歩するとき、銀塩カメラでゆったり撮影することに目覚めた。
 ベルビア100+現像代=\1650と決して安くない銀塩写真だが、バックアップを取ってあってもいつ消滅するか分からないデジタルデータと違い数十年以上に及ぶ信頼性はなかなか捨てがたい(もちろん私の残された寿命よりはるかに長く残る)。時代を超えて残されていくものはデジタルデータでは困難であるし、管理している人間が死んでしまえばその存在すら不明になる可能性が大であるのは自明だ。銀塩は遺されても故意に破棄しない限り後世に残る。

 

デジタル一眼レフカメラでパシャパシャ数百枚も撮影し、モニターで確認、不要ショットは削除の一連動作はまるで仕事に似ている。
しかも、最近のカメラはjpgでも普通に撮影することはほぼ完璧な結果で意外性がなく、ある意味面白くない。
それに比較し、一枚一枚考えながら、現像結果を想像しながら撮影するのは、ある意味スリリングでおもしろい。
F5は、どんな状況でもほぼ必ず写っているという安心感がありその安心感はカメラの重量を感じさせない。

重量1290gと決して軽くないが、高速モータードライブ内蔵としては重くない

ニコン F3HP   2011年



ニコンF3Fは突出した機能を持つわけでもなく、派手なデザインでもなく、どちらかと言えば控えめな、しかし持つものをとらえて離さない確実さと信頼感にあふれたカメラであり、715gという軽さは日常的に使用可能である。
F2Aがフオトミックフアィンダーの為に頭でっかちで不恰好なスタイルになってしまっているのに比較し、F3はTTL中央部重点ボディ測光を採用したので随分スマートで扱いやすい。
バランスの取れたスタイルはもちろんジウジアーロデザインによるだが、手になじみ、フイルム巻上げの比類なき滑らかさ、シャッター音の心地よさなどMFカメラとしては最高の出来ではないか。

 

1980年に発売されてから生産完了の2000年までなんと20年の長きにわたってF3は販売され続けたことは、今日のデジタル一眼レフでは全くありえない。
それはプロからアマチュアにいたるまで根強い支持があったからと言える。
時代は完全にデジタルに移行してしまい、もはやフイルムの出番はどこにも無くなってしまったかに思われ、実際に私も撮影の100%をデジタルだ。
しかし、デジタルカメラは失敗することがない完璧な撮影を行なえる実用機として最高でも、撮影が終了した後手入れをして防湿庫へ直行してしまい触って楽しむことはしない。
それは恐らく私だけではなく、多くの人々にとっても似たような状況と思う。



持てる喜び、現像が上がるまでのドキドキ感、空シャッターを切って楽しみ、歴戦のために真鍮の金色に輝くスレを誇りに思う、そんな銀塩カメラが投売り状態になっている今日現在、千才一隅のチャンスとは言えないか。
あのM型ライカで有っても、美品を望みさえしなければ10万円を切っているのは驚き以外に何があるか。
恐らく、昔からのコレクターが高齢になり、あとを継ぐものがなく、捨て値同然で売却され、市場に出回ってきたこともあるが、いつかは手に入れる楽しみが近くなってきたように感じる。化石の収集と同じであるとは言いすぎになるかもしれないが事実である。
もちろん、銀塩金属カメラを収集する者にとって、写真は情緒ではない、鮮鋭に確実に、そしてデジタルのようにコストが低くなければ意味がないと割り切れればよいが、滅び行くものへの愛惜はいかんしがたいものがある。
そんなニコンF3HPが私のところへやってきた、無論美品ではなく、小あたりあり、スレ多しの状態ではあるがニコン一桁機の押しも押されもしない威厳はデジタル一眼レフカメラを圧倒している。