群馬県 表妙義山 金洞山周回 2025年

灼熱地獄の表妙義 金洞山周回 2025年

2025年5月21日 表妙義山 金洞山周回

(石門入口~堀切~鷹戻し~東岳~中ノ岳~中ノ岳神社)

    ログを見ると堀切分岐でミスをして40分近くロスしているのがわかる

2025年4月、妙義山から戻ったが、鷹戻し付近の核心部に行けなかったことが心残りだった。雨の中でも行けたのではないかとも思うも、頭ではエスケープしたのが正解ではあると分かってはいた。ただし大の字から相馬岳、金洞山を登って中の岳神社へ降りて初めて表妙義山を走破出来たと言えるのも確かだ。6月頃から梅雨となり、7月8月9月は暑くて登れない。10月でもまだまだ難しい。11月でやっと快適らしいが、気持ち的にそれまで待てなかった。
5月20日から4日間を予定した。航空券は時間をずらすことで往復¥33400と割と安い。予算的には前回と変わらず85000以内で収まるだろう。石門入口から第一石門、第二石門、第四石門を経由し、堀切分岐から上がる。そこから前回に引き続き金洞山を登り、中ノ岳神社へ抜ける。次の日余裕があれば裏妙義山へと向う予定を組んだが、心配はやはり天気だ。



計画日に近くなっても天気は微妙だが計画を実行に移した。5/21は多分、晴の予報で良いと思うが、5/22は雨が降りそうだ。ただ、心配は今の時期にかかわらず気温が30℃を超えそうなことだ。天気予報では「関東など東日本は晴れて季節先取りの暑さに注意が必要です。関東甲信は、午前を中心に晴れて、最高気温は所々で30℃以上の真夏日となる、湿度アップで熱中症リスク大でしょう」とあり、高崎駅に到着した時点で30℃と先が思いやられる。青雲館へ到着し、妙義神社へ向う。先月は見事なシダレ桜であったが、今回は緑の若葉となっていた。前回、神社の本殿を見落とし、お賽銭とお参りをできなかったので、今回はていねいに済ますことができた。

         妙義神社の本殿は豪奢 安全登山のお願いをした


早朝4:50ご主人に石門入口までおくってもらい感謝だ。天気は晴れ、スタートした5:11の気温は18℃を越え、かなり暑くなりそうだ。暑いと当然ながら風も止まるので、標高1000m程度の稜線上においては厳しくなる。歩き始めは木陰が続くので快適に第一石門、第二石門と鎖があるが、簡単なルートを通過した。第四石門を越えると庇の様なハングした岩壁沿いを頭を下げて通過する。油断すると当たる。やはりヘルメットは役に立つ。

         第二石門には鎖が二列下がっており、人気のほどがわかる

          この階段はヘルメットがないとケガをしかねない

この辺りから登り基調から下りに入り、しばらく歩いても掘切の分岐が見当たらないことが気になった。前回、下った時看板があったはずなのだが、発見できず先に進んでしまった。おまけにジオグラフィカの調子が悪く、現在位置のアイコンが出てこない。これはおかしいと思いつつ進んで6:37発見したのはあずま屋であった。ここは分岐から少なくても15分はかかる。痛恨のコースミスだ。どこで間違えたか不明だが、間違に違いはなく、引き返して正しい方向に進まなければならない。直ぐに戻りはじめるが、相当下っていたのできつい。

           堀切分岐を見落とし、ここでやっと気がついた

20分ほど戻ると6:55分岐があった。下から(妙義神社方面)上がってきたらかすれた標識が見えるが、石門から来ると左後方となり、見えないのだ。一般登山者を入らせないためだろうが、少し不親切だ。時間のロスは往復37分近い。宿に戻ってからルートミスをご主人に話すと、分岐に看板がないのは一般客が入らないように意図的に設置していないと話してくれた。だから地元以外の人にとって分かりにくい。とはいえ一月前に堀切からここに降りてきて通過したのだから、何も覚えていない自分も情けない。地形図も谷が複雑に入り組んだここ妙義山では詳細な判別は難しい。

        岩に✖が書いてあり、堀切の文字が滲んでいて見落とした 

               4月の続きがここから始まる

気温が高くなるのでなるべく早めに終了したい。分岐からも落ち葉に覆われた斜面に一部標識が見当たらず悩む場面もあったが、堀切には7:22到着。やっと前回の続きを継続できる。天気が極めて良いので間違いなく中ノ岳神社まで行けるが、問題はどんどん上がってきた気温だ。木立の影があれば涼めても、稜線上では灼熱の地獄だ。堀切で立ったまま休憩し、さっそく金洞山鷹戻しへと入っていった。鎖場ばかりなのではないかと思っていたが、結構歩きやすい。平らな道もあるし、木陰が続くので今日のような暑い日には助かる。とはいえ直射日光が当たる部分の方が多いので水を飲んでばかりで、予定した1.5リッターの水は足りなくなるかもしれない。

              表妙義山の核心がここから始まる

        鷹戻しは際立っており遠くからでも悪場に見えた


鎖場が連続して続く場所は想像より少ない。それにいわれているほど難しくはない。とはいえ油断は禁物だ。舐めていると足をすくわれる。まもなく鷹戻し基部のハシゴに8:06到着。核心部の鎖は5段くらいになっており、それほど傾斜がないので少し拍子抜けだ。鷹戻し上部に「スリップ注意!クサリを離すな!」と看板が出ていた。あたりまえだろうが、なかには離す人もいるのだろう。

        鷹戻しは高さこそあるが傾斜が緩く困難ではない

        当日の気温が30℃近くあるので日陰ごとに休憩し水を飲む

                鎖を離すな! 当たり前だな

鷹戻し基部は日陰で割と涼しいが、鎖を掴んで上部へと行くと直射日光に当たるため汗が噴き出す。ワンピッチごとに水分補給だ。日向でのんびりしているとミイラになるのでいそいで上を目指した。リッジに8:17上がるが鷹戻しの頭がわからない。歩いているうちに二段ルンゼの降り口に到着。細い鎖と太い鎖が2本並んでおり、太いのは掴みにくいので、細い鎖で降りた。長い鎖の場合、足の置くところを確実に探してぶら下がらなければ、鎖に振られて怖い思いをするだろう。特に太い鎖は頼もしく見えるが、握りにくいので良いと思えない。その上直射日光が当たる鎖は熱を帯び焼けるように熱い。皮のグローブをしているから大丈夫だが、素手であれば厳しいだろう。

             細い鎖と、太い鎖の二本が下がっている

                  太い鎖は手に余る

         木の陰で良く見えないが二段ルンゼが手の先にある

8:34二段ルンゼを降りると東岳に向うが、石門との分岐があり、何も考えずに進むと左の石門へと導かれるのは要注意だ。
東岳の上がり口にも短い鎖が有る。8:52遮るもののない東岳からの景色は素晴らしい。裏妙義山、浅間山、荒船山くらいしか分からないが、前回は全く視界が無かっただけに気持ちが良い。しかし、のんびり景色を眺めている場合ではない。なにせ暑すぎるのだ。風はほとんどなく、気温は30℃近くあるだろう。全く山登りというより罰ゲームに近い。今回は掘切から上がっているので、大の字からの登山者はまだ来ないと思われるが、逆からも誰ひとり会わない。多分地元の人は雨同様にこんな日に登らないのだ。地方から来た私のような登山者は雨でも風でも突破せざるを得ない。そして無理をし、途方に暮れる。それにしても暑い。

          東岳まで来ると先が見えてきたのでホッとした

        二段ルンゼ、鷹戻し、バラ尾根、相馬岳が一直線に並ぶ

              東岳から中ノ岳、登山禁止の西岳

ワンピッチごとに水を飲むため水の消費量が想定より多く、中ノ岳過ぎでなくなるかも知れない。下山開始から中ノ岳神社まで40分程度と思われるが、多分持たない。この気象条件下で水がなくなれば熱中症は確実になる。

              中ノ岳社で安全登山のお礼をした

       中ノ岳の鎖は完全な垂直に垂れているので油断はできない

中ノ岳で社に賽銭を出し、9:04無事に下山できる事をお願いした。ここからの下山もほぼ垂直の新しいステンレス鎖だ。太くて頼もしいが握りにくいのはどうだろう?壁は垂直であるが、ステップが刻んであるので難しくはない。この壁の後は転がるような降りていく。9:41石門分岐到着。まもなく登りの登山者とすれ違った途端に体がふらつく。「まずい!」中ノ岳神社まであと5分程度のこんなところで遭難したら笑い者だ。歩くのを中止し、ヘルメットを脱ぎ、首元を冷やし日陰で5分ほど休憩する。熱中症は高温多湿の環境下で熱を排出できず、熱がこもり体温が上昇、各種障害がおこる。特に血流が悪くなることで脳に血液が流れなくなり、頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感、目眩が起こり、意識障害で倒れる。
下手をすると生命を落とす可能性が大である。おぼろげに知識はあったので直ぐに行動を止めることが出来た。これがリッジ上であれば涼しい場所など皆無だから重大事態になったかもしれない。紙一重であった。リッジ上よりルンゼは日陰が多く、少し涼んでいると体調が良くなったので慎重に歩き始めた。
間もなく中ノ岳神社の社に9:54到着し、階段を駆け降り、自販機でサイダーを買い、浴びるように飲んだ。危ないところであった。遭難騒ぎと紙一重とはこの事だ。

                ようやく中ノ岳神社に降りた

リベンジを果たしたとは言え、堀切分岐でコースミス、掘切出合までにも迷いがあった。下調べを念入りにしたのにこのざまだ。ミスがなければあと37分は早くなり、熱中症直前のふらつきもなかったはずだ。早ければ良いのかという疑問もあるのだが、今回の様な気温下では早く下山したに越したことはない。これほど気温が上がらなければ県道を歩いて妙義神社まで歩いて戻るのだが、そんな気力も体力も残っていなかった。宿の迎えが来るまで鳥居の柱影で待った。

 

           神社には巨大な大黒様がそびえていた