1/3ホーリング(荷揚げ)あるいは負傷者の救助システムの一例
過去にアルパインクライミングで何度か荷揚げをやったことがあり、プーリーとカラビナ、ユマールを使った。多分1/3システムだったと思うが、なかなか苦労した記憶がある。
今では使うことも無いが、システム構築には興味があり、マイクロトラクションとプーリーを探した。タイブロックは元々持っていたのでメルカリとヤフーオークションで他の二つを手に入れた。
早速自宅で1/3システムを構築してみた。アンカーにナノトラクション、下部へ向かうロープにタイブロックとプーリーのパートナーを組み合わせた。荷物はザック10kgとした。画像のようにロープを引けば理論通り1/3の力で荷物を引き揚げられる。
1/3システムとは「力を3倍にする代わりに、引く距離も3倍にする」というエネルギー保存の法則を応用した仕組だ。荷揚げで必要な「仕事量」は、荷物の重さと引き上げる高さで決まっており、これはシステムを変えても変わらない。
直接引く場合 : 強い力で、短い距離(1)を引く。
1/3システムの場合: 弱い力(1/3)で、長い距離(3)引く。
W = F × S (仕事 = 力 ×移動距離)
Fを 1/3 に減らす代わりに、S(距離)を プーリーで折り返し、3 倍にして帳尻を合わせている。
理論的にはFは0.33だがプーリーの摩擦があるため、実際にはF=0.38程度になってしまう。プーリーもベアリングを使っているか、直径が大きいものが効率が良い。
もしセコンドが負傷して動けなくなり、アンカーのテラスまで引き揚げる場合は複雑だ。
引き揚げシステムを構築する前に、確保器から荷重を抜かなければならない。確保器をミュールノットとオーバーハンドで仮止めし、ロープにかかっている力をマリーナノットでアンカーに移す必要がある。荷重を移したあとにようやく1/3システム構築が可能なので現実的には非常に難しい。
たとえ器材を全部持っていたとしても、訓練を繰り返し行わなければうまくいかないと思う。だが覚えておいて損はない。いつか、何処かで必要とされる日があるかもしれない。
2026年度自己脱出訓練時に1/3システムを構築してみた
下記の図では左のアンカーとプーリーは自己脱出のためのシステム。右のシステムが1/3だから、実際には1/3以上軽くなっていると思われる。プーリーとナノトラクションは内部にベアリングが入っているため昔のベアリングなしに比べて相当効率が良く、軽い。時代が変わるとシステムも進歩していることを強く感じた。
